バッドチューニング


サドル、というのかあ
今 名前を知った
ずーっと割れている
よくチューニングが狂う

久々にギターの弦を替えてる
17才のとき親戚の農家でのバイト代を貯めて買ったやつだ
11才から約7年におよんだ
引きこもり生活はときに
音楽漬けの日々だった
自宅で多重録音をくり返していた
デジタルには疎いので
MDレコーダーに録音してそれをバックで流しながら 歌を入れる・・
じつにアナログな作業に酔っていた 
誰に発信するでもなく
一度だけ 幼馴染が遊びに来たときに聴かせたら 彼がまさかの涙を流した
あのときは

な、ええやろ?

にやりしていたが今思うと
あの涙には多少同情がこめられていた気がする

「みんなが恋愛に友情に、青春を謳歌しているのにこいつは部屋で毎日こんなことをしているのか・・」

それでもアナログなおれは当時
そんなことで 事足りていたのだ

・ギター
・原付バイク(ひとりツーリング)
・妄想
・たまに農家でバイト
・ゲーム(プロ野球スピリッツ)
・筋トレ

事足りている、
と思いこむしか生きる術がなかったとも言える
それがひとたび崩れると 喚いた
めちゃくちゃだ

中島らもさんは

「教養とはひとりで
ヒマをつぶせる力だ」

と言っていたが
なら当時のおれに教養は
あったのかもしれない

全部自己流で弦を張り替えていた
あの頃
ギ、ギギリ、ギリギリ・・
チューニングの合わせ方がわからなくて
ペグを巻きまくっては弦が切れる恐怖と戦っていた
いちど6弦が バチコーン‼︎‼︎ て切れたのが いまだにトラウマで
弦を替えるときは手汗が尋常でない


ふぅ。


明日あさっては久々に連休
明日は蛇口さんも出演される
『俊読』を体感しに渋谷へ行く

チューニングを合わせることが求められる毎日なんか忘れて
この2日間は
バッドチューニングでいよう
と思う


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