蓄膿



京王高尾線 山田駅 ─────

夜道を歩いていると
カブトムシのメスがいた
写真を撮ろうとしたら
ブワワワッて 飛んでいく
ギャラは払うつもりだったのに

夏だなあ 。

契約社員なので 夏休みはない
正社員の方々はというと
続々と夏休みを消化しにかかるので
むしろおれは出ずっぱりになる
介護 feat.夏
は なかなか耳にくる
静かに
寝ていたい
大学生である彼女が
一か月の夏休みは短いという
そうだね、
生きるって あっという間だわ

自分なりに愛情こめて(?)
育てていた
金のなる木が枯れて
また督促状がきた
払うってだから!
水のやり過ぎで 根が腐ったらしい
みんながみんな
乾いているわけではない

金のこと 仕事のこと
朗読のこと 恋愛のこと
自分が発するひとつひとつの
言葉について
もっと 底のほうから
触れていたいんだけど
上澄みをすくうので 必死、、

昔はたった いっこの店を切り盛りして
毎日はしんどくても
それはそれで楽しくて
今は 店舗が増えて
何か 「統括営業部長」やなんかに
抜擢されて うれしいし やりがいは
あるけど
ひとつひとつが知らぬ間に
流れていくような 長いたとえ話
「〜長」なんか
キャバクラの名ばかり
ウエイター長にしか
なったことないけども

ただ自分自身が融解していくような
生温かい 寂しさが
ある、
渋谷のスクランブル交差点を渡りながら
ここにいるすべての人と
腹を割って話せないような
そもそもの自分の限界に
安心する かなしみ

ひとは色々なことを言う
刺さることもあれば
ひっつき虫のように
死角にこびりついていて
あとから気付くこともある
むしろそちらのほうが多い
ルーペでのぞいてみる

小さく

「ふぁいてぃんっ」



──おおっ 。



眼科へ行く。
2weekのコンタクトレンズを2month
使っていた
しかし異常は見られなかった
新しいレンズをいただく
やっと瞳に愛がもどってくる


ドンキホーテでは
米とバナナを買う
米とバナナは武器である
冷蔵庫のない わが家の
しかし結局 すき家に寄る
おれはわけがわからない
あほなのか
リュックサック 背中が重い。


友だちから電話がある
プロポーズをオーケーされたという
おれは生まれ変わったと

おう、よし。

めでたい
それ以外はなかった


おれも明日からまたがんばります。



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