彼女を訪ねて奈良まで行ったのが5日前。夜行バスで帰ってきた朝その足で職場に向かい今日まで働いてもう何つーか非常に重力を感じてミシミシしていた
そして今日は某チェーン居酒屋バイトの初出勤ということだったが、朝5時半に起きたときから眠すぎて逃避願望がハンパじゃない
日中のメインしごとを終え、一度家に戻りながらも、
仮病を使うことで頭がいっぱいだ 寝たい 眠たい 眠たい
風邪流行ってるしな!
それでも何とか今日は行くぞと心を決め、カップ焼きそばを泣きながらすすっていると
居酒屋のほうから電話がかかってきた
店長と思われる中年男性の声がした( 面接は店のバイトの子にしてもらったので店長には会ってない )。
今日の出勤時間変更、もしくはヒマなので今日は出勤なしで、みたいな感じを予想していた 出勤なしなら最高や!
すると
店長は低めのトーンで言った
「あの、もりさわさん、こちらから採用しておきながら大変恐縮なのですが、、、」
む、
胸がドキドキしていた。
これは、
まさか、
土壇場で逆転不採用通知か!?
( ドキドキ )
祈られるのか! ( ワクワク )
「働く」に傾いていたシーソーがふたたび揺れはじめる
寝たい、
眠たい、、
眠たいんじゃあああ ────!!
「うちの店、急遽、
閉店することになりまして ・・」
「!!」
「もりさわさんさえよろしければ、残り少ない日数働いていただいてもかまわないのですが・・・」
シーソーは一気に「寝る」に傾いた。地面に強く当たりすぎて腰を強打する
「・・・あの、」
「はい?」
「ぜんぶ・・すべて無しにしてもらうことってできますか? 採用とかもろもろ」
「こちらは、ええ。
大丈夫です」
「あ、はい。じゃ、あの、なかったってことで、お願いいたしますすんません」
「わかりました」
久しぶりにおらあ、
神の存在を意識した。
「もり、もう居酒屋はええんちゃうかあ?」
念じれば、叶うのか?
興奮でいまだ眠れずにいる
尾てい骨が痛い
何してるんやろおれ。
もり
持ち主はどこへ行ったのだろう
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